現在位置 ホーム > 文化活動・観光 > 文化芸術 > 「文化芸術」のお知らせ > 令和6年度第33回取手市長賞作品(美術分野)が決定しました!
ここから本文です。
令和6年度の第33回取手市長賞(美術分野)作品を、第73回東京芸術大学卒業・修了作品展に出展された作品の中から東京芸術大学の推薦をもとに2点決定しました。取手市長賞(美術分野)についての詳細や過去の受賞作品については、「取手市長賞(美術分野)」をご覧ください。
中原 玲奈(ナカハラ レナ)
美術学部絵画科日本画専攻
和紙、岩絵具
縦181.8×横227.3センチメートル
画面の中には、古びた家屋がガジュマルの根に侵食され時間がもたらす変化の無常さを表現しています。まるで時間そのものが形を成しているかのようです。台湾の安平という場所が持つ静かな歴史の中に、時間がどれほど不可逆であるかを、深く感じさせる作品です。安平という地名は、台湾の歴史と密接に関わりを持っていますが、この作品はその歴史を超えて、普遍的な「時間」の概念を浮き彫りにするとても魅力的な作品です。過去は過去として、もはや戻すことはできず、未来へと向かう一方通行の流れが私たちに語りかけてくるのです。この絵画を前にして、誰もが自分自身の過去と未来を思い描き、そして「今」という瞬間に立ち止まり、静かな感動を覚えます。成績優秀で、今後も更に期待できる作家の1人として推薦いたします。
私は心から描きたいものを探すのはとても大変だと思っていて、例え描きたいものが見つかったとしてもそれを愛情込めて長時間描くことができるかというとそれも難しいと感じています。そこで自分の記憶の大切な部分を担っている台湾なら何か見つかるのではないかと思い、取材に行くことにしました。かつて住んでいた場所へ行って強く感じたことは決して時は戻らないということです。毎日が楽しくて世界との遠さとは無縁だった場所は廃れていました。住んでいた高雄から少し離れ、台南の安平樹屋というところへ足を運び、ガジュマルの木に飲み込まれていく廃墟を見てここを描こうと決めました。もう戻らないものを飲み込み新たな記憶を編んでいくその時の自分と重なるところが多くあったからです。一本の木からいくつも伸びる気根が土台や自分自身に複雑に絡みつき様々な形を織りなす様子は見ていてとても面白く、そして美しいと思います。その静謐な美を表現したいと思いました。
土井 源(ドイ ゲン)
美術学部工芸科鍛金専攻
銅、鉄、木板
高さ122×幅182×奥行12センチメートル
土井源くんの卒業作品は、シーラカンスをモチーフとして、現在の自分自身の心境をモチーフに重ね合わせたレリーフ表現による壁面作品です。大学入学前から折り紙に興味を持ち、創作活動を行っていたという経緯から、折り紙の技術と鍛金技法を組み合わせた作品制作に取り組みました。0.2ミリメートル厚から1.2ミリメートル厚の銅板6種類を場所により使い分け、折り込む方法で鱗や背景を表現し、レリーフ状に打ち出した顔やヒレと組み合わせています。彼独自の感性による造形表現は、新たな鍛金表現の可能性を感じさせるものであり、取手市長賞の趣旨に添う優秀な作品と認め、ここに推薦いたします。
古代から姿を変えず進化の途中の存在とされているシーラカンス。今の自分と重ね合わせ、小さい時から折り紙で作品を創作してきた技術と大学で学んだ鍛金の技法を組み合わせて制作しようと思いました。
(注意)駐車券のサービスはございませんのでご了承ください。
関連リンク