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更新日:2025年1月22日

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編集後記

「風」53号の編集・発行にあたり4人の市民編集員が感じたエピソードをご紹介します。

下園 淳子(しもぞの あつこ)

小学校の頃、お正月に書き初めをするという宿題がありました。
テーマは「今年かなえたいこと、やりたいこと」、つまり「一年の計」です。
「一年の計は元旦にあり」という諺(ことわざ)の由来は諸説ありますが、その一つである毛利元就(もうり もとなり)の言葉はこう続きます。
「一年の計は春にあり、一月の計は朔(さく)にあり、一日の計は鶏鳴(けいめい)にあり」
簡単に言うと、「今年の計画は年の初め、今月の計画は月の初め、今日の計画は早朝に立てなさい」ということです。
では、人生の計画は?
何かを思い立ったとき、何かを始めるとき、あるいは人生の節目に、自分自身のありたい姿を思い描き、その過程や目標、計画を立てるということになるのでしょう。

私自身は、どちらかと言えば、成り行き任せ、行き当たりばったり、出たとこ勝負のタイプです。小学校の時に一年の計を立てることを真面目に身につけていれば、もっと理想の自分になれたかもと思わないでもありません。
一方でこうも考えます。「人生には寄り道、道草も必要。回り道することで視野が広がり、人生に深みが増すこともあるはずだ」と。

でも、ライフプランってそんな窮屈に考える必要はないのだと気づきました。
人生の計画は固定されたものではありません。寄り道や回り道ができる余白と余裕を持たせ、状況に応じて柔軟に変更すればいいんです。
あるいは、プランA、プランBなど複数の選択肢を考えておくのも面白いかもしれません。

ところで、今回取材したライフプランはお金のことが中心でしたが、計画に必要なのはお金だけではありません。自分が望む生活や夢を実現するには、どのような勉強や経験が必要なのか、何をどのように準備していけばいいのかなど、プロセスを具体的に思い描くことで、着実に実現に近づけるのではないでしょうか。

明日がある限り、計画を立てるのに年齢は関係ありません。
自分にとっての幸せを想像してみること、それが私のライフプランの始まりです。

河口 優子(かわぐち ゆうこ)

小学生から始まるライフプラン学習

授業の開始前には、教頭先生がおじさん、おばさんを引き連れて教室に入ってきたのでいつもと違い緊張した雰囲気がありましたが、先生が「日本一入場者の多い遊園地はどこか?」とクイズを出すと答えを言うために次々と先生の前へ出て行き、授業が始まりました。

授業中は、各自がレストランやお土産を検索しながらエクセルの表に入力していきました。「どの画面から調べられるの?」「かちゅうしゃはどうやって入力したらいいの?」「残り60円じゃ何も使えない」など子供たちから声がかかるたびに先生がそばに寄り声に答えていました。だんだんと部外者の存在など忘れ、作業に熱中している様子が伝わってきます。タイマーで決めた時間内にほとんどの子が希望のものを決めて表を作り上げることができました。食事とお土産のバランス、誰にお土産を買うか、限りある予算の中でほしいものを選ぶという難しさなど実感したようです。

何を大切にして決めたか、授業で思ったこと感じたことなど宿題になったのでその後を聞くのが楽しみです。
担任の武藤先生はライフプランを人生の計画であり、お金と時間の使いかたを考え計画を立てることで、これからの人生で困ることが少なくなるように願って授業をしたそうです。
このような授業を展開するには日ごろ「毎朝のタイピング」時間を作り、先生の選んだ豆知識情報を毎朝200文字入力することでブラインドタッチができるようになってきて、自分の考えたことをすぐに打ち込めるようになったという子供たちの努力もあったようです。

授業後、生き物係がやさしくお世話する姿と、それを見ている先生の、授業中とは違ったリラックスした笑顔に、子どもたちの個性を大事に日々指導してくださっている様子がうかがえました。
お金のことを知り使えるようになったこの年頃から現実の物の価値を知り、収支のバランスをとることを覚えるようになることは実社会でも役立つ良い学びだと思いました。

ファイナンシャル・プランナーとライフプラン

今回、取材をするにあたり、身近な30代から40代の若い世代の数人に話を聞いてみると、皆さんファイナンシャル・プランナーに相談した経験がありました。相談するきっかけはそれぞれで結婚、出産、転職などの時期に保険の掛け替えや学資貯金のこと、住宅ローンについてなどでした。その後もことあるごとに相談しているという人もいて身近な相談相手になっているようです。ファイナンシャル・プランナーという肩書を目にするようになったのはさほど昔ではなくNPO法人日本FP協会が資格認定試験制度を確立したのは1990年でしたが、わずかこの30数年で「2024年武器になる資格ランキング」1位になるほど世の中に認知されてきました。

(「2024年武器になる資格ランキング」出典元:NPO法人日本FP協会のホームページ「武器になる資格ランキング(株式会社ユーキャン調べ)」)

親、兄弟、子供とお金の話をしたことがありますか?

私が実家の親の経済状態を知ったのは親の介護が始まり施設に入所した時でした。母は父亡き後も小売店を営み、兄夫婦も近くに住んでいたので任せきっていました。ところが母が脳梗塞で介護が必要になり、手続きなどのため母の銀行の通帳を見たとき初めてそのつつましい生活に気づき驚きました。
毎日のように会っていた兄にも相談したことも愚痴を言ったこともなかったようです。両親が築いた財産は兄の事業の為につぎ込み日々の生活は少ない年金と小さな店の売り上げで賄っていたようです。親兄弟間でもお金の話をするのはためらわれた時代でした。わが身を顧みても夫と将来のライフプランを話し合ったことがありません。それなりの不安はありますが、お互い健康でさえあればと先延ばしにしてきた感があります。高度成長時代を経験し、年金でどうにか生活できるのではないかという時代錯誤の考え方をまだ拭い去れないようです。今回の取材を通して「いいのか自分?」と問いかける私です。

落合 伊佐男(おちあい いさお)

私には2つの日課がある。1つ目は1時間弱の早朝ウオーキング。2つ目は、購読している新聞の「運勢欄」を日記に書き写すことだ。
運動をすれば中性脂肪は低下し、善玉コレステロールは上昇する。そしてウオーキングなどの有酸素運動を15分以上続けると脂肪が燃える。それを期待して早朝の街に出ていくのは爽快である。
3年前の新聞に、「新聞の運勢を記す1行日記」と題した80代主婦の投書があった。1行日記に運勢を記し、その日の行動の参考にしている、と。
その日から私も同じことを実践した。自分の干支の運勢を読む。次いで家族のそれを。そして「子」から「亥」まで目を通す。難解な語は辞書を使う。
書き順の不確かな漢字は、書き順辞典やスマートフォンで確認する。
日記に書き写した運勢は、納得する日もあれば、「ないな」という日も。印象に残ったものは、日記の別ページに抜き書きしている。いくつか紹介する。

  • 山の如く積んだ書物から宝を見つけ出すが如く読書して心若し。
  • 高齢者は「きょうよう」と「きょういく」が大切だ。「今日用」がある、「今日行く」ところがある、と。
  • 迷えば万事が非なり。悟れば一切が是なり。心のありようで世界が変わる。

毎朝続けることで、一日の生活が整い、今では大切な日課となっている。
さて、今朝もウオーキングのあと玄関から新聞を取ってこよう。

糸井 弘(いとい ひろし)

年初からの為替の円安が長らく続いた影響や温暖化、天候不順の影響などから、エネルギーをはじめ、あらゆる物資が値上げの状態となり、国民の懐に多大な影響を与えています。

それぞれの「ライフプラン」がある中で、子供たちは、「お金」について、どのような考えを持っているのかを探るため、市内の六郷小学校の5年生の「家庭」の授業を参観してきました。

常磐線に近くて田園に囲まれたこの小学校は、小規模で全校生でも100人以下で、1学年1クラスで運営されています。まず、驚いたのは、「GIGA(ギガ)スクール構想」で配布されたひとり1台のタブレット端末を使い、子供たちがその扱いに慣れていたことでした。両手を使い、正しいタイピングをしており、小生の学んだ時代との変化を感じました。

この授業での予算5000円というのは、5年生にしては、高額ではと思いましたが、自分と家族に分けて、上手に振り分けるなど、現実のお金の使いかたにも役立てそうな子も多く散見されました。このような授業が今あることは、羨ましい限りで、面白い体験シミュレーションでした。グループに分かれて、各自、自分の買い物の内訳を発表し、最後に各グループの代表が前で発表しました。予算を使い切った児童、予算が余った児童、予算オーバーした児童など様々でした。

将来の「人生ライフプラン」を設計していく過程の中で、お金の大切さについて、最初の取っ掛かりとなるお金の使いかたを学校でシミュレーション体験しました。今後、お金の大切さについて各家庭での実体験を通して、ますます金銭感覚が養われることでしょう。

春闘での賃上げや値上げ続出の物価高、新紙幣の発行などでお金の話題があった令和6年でしたが、皆さん、生活を取り巻く環境は変わりましたか?

このページは、以下のSDGsのゴールと関連しています。

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