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更新日:2024年7月31日

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NPO法人格取得のメリットと負うべき責任、他の法人格との違い

平成10年に「特定非営利活動促進法」(通称NPO法)が成立し、これまで任意団体として活躍してきた多くのボランティア団体は、法人格の取得が可能となりました。

法人格を持たない団体は、法律上では個人の集まりとして扱われるため、契約や財産の所有などは、代表者などの個人が対応することとなり、何か問題が発生したとき個人に大きな負担がかかることがあります。

NPO法人格を取得すると、法人として様々な契約行為や取引を行えるようになるため、構成員個人の負担が軽減することから活動が安定するとともに、団体としての社会的な信用性や信頼性が高まるというメリットがあります。その一方で、NPO法に従い適切な管理や運営が実施されるよう、様々な事務手続きが継続的に必要になるほか、納税の義務が発生する場合もあります。場合によっては、任意団体として活動したほうがメリットが勝る場合も当然あり得ます。

必ず以下のメリットと負うべき責任を考慮したうえで、法人格取得の是非を検討してください。

NPO法人格取得のメリット

信用性、信頼性の向上

  • 社会的にも広く認知されている法人格であることから、活動や組織に対する信用性や信頼性が増します。
  • 公益性のある社会活動の一翼を担うことができます。(様々な公益事業に参加したり、補助金や助成金を申請するにあたって、法人格であることが条件になっているケースもあります。)

メンバー個人と団体の役割・責務の明確化

  • 法律行為の主体として、法人名でさまざまな契約行為や、財産の取得、管理、銀行口座の開設や借り入れ、不動産の登記などが行えるようになります。(メンバー個人の資産と、法人の資産が明確にわけて管理されるようになります。)
  • 基本的な活動の中で発生した法人としての債務や責任と、会員個人の債務や責任の区分が明確に分けられます。(ただし、債務の連帯保証になっていた場合であったり、法律違反を犯した場合などはその限りではありません。)

活動の継続性・安定性・組織力の向上

  • たとえ代表者が変更になっても、法人として保有している財産や活動はそのまま法人に継続されます。(任意団体の場合では、万が一、代表者がお亡くなりになった場合には、団体の保有する財産は代表者の遺族に相続される可能性があります。)
  • 法人として、事務や事業の担い手として職員を雇用することで、ボランティアだけに頼らない組織的な活動をしやすくなります。また、新たな雇用の受け皿としての社会的役割の一翼を担うこともできます。

その他

  • 将来的に一定の条件を満たして申請すれば、認定NPO法人(寄付金への税額控除等、様々な税制上の優遇措置がある)の法人格を取得することも可能です。

NPO法人格取得により負うべき責任

意思決定に時間がかかる

  • NPO法や法人の定款に沿った適正な運営が必須になるため、例えば活動内容を変更したり、新たな活動を始めたりする場合には、総会の開催や定款変更などの手続きに時間と手間がかかります。(任意団体のようなフットワークの軽さはありません。)

厳正な事務処理と情報公開が必要

  • 毎事業年度の事業報告書や決算書類などを、毎年作成することが義務になります。なお、決算書類の作成には、複式簿記の知識が必須になります。(所轄庁では作成の支援は行いませんので、自らで作成するか、税理士や会計士などに依頼することになります。)
  • 事業報告書や決算書類などを、毎事業年度の終了から3か月以内に所轄庁に提出し、併せて公開することが義務になります。(所轄庁では、提出された書類は一般市民が閲覧できるように公開します。また、法人自身も事務所などに備え付けて、関係人がいつでも閲覧できるようにしなければなりません。また、決算書類のうちの貸借対照表については、毎年公告する必要があります。)
  • 最長でも2年に1回は役員の変更(重任可)が必要になり、それに伴う所轄庁への届け出や法務局への変更登記などが必要になります。
  • 法人の登記事項証明書(法人登記簿)は、関係者に限らずだれでも取得可能なため、法人の代表権を持つ歴代役員の氏名や住所が公にされます。

納税の義務の明確化

  • 特定非営利活動を行う場合であっても、それが法人税法施行令第5条で規定する収益事業34業種(物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸・学力教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業)に該当する場合は、収益に対して法人税の納税義務が発生します。
    (注意)詳細は、NPO法人と収益事業についてのページでも解説しています。
  • 法人として、法人市民税の納税義務が発生します。(ただし、収益事業を行っていない場合は、申請すれば減免・免除される場合があります。)
  • 物品の販売や、対価を得て行うサービスの提供で得られる売り上げが年間1000万円を超える場合などは、消費税の納税義務が発生します。(詳細な課税条件は税務署にお問い合わせください。)

罰則などの規定がある

罰金

以下のような場合は、NPO法により役員(理事、監事)に50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

  • 正当な理由なく所轄庁の改善命令に違反して、改善命令に係る措置をとらなかった場合

過料

以下のような場合は、NPO法により役員(理事、監事、または清算人)に20万円以下の過料に処せられる可能性があります。

  • 所轄庁からの報告徴取指示に対して報告をせず、または虚偽の報告をした場合
  • 所轄庁の立ち入り検査を拒み、妨げ、または忌避した場合
  • 事業報告書を、毎事業年度の終了から3か月以内に所轄庁への提出を怠った場合
  • 過去5か年分の事業報告書を事務所に備え置かず、記載すべき事項を記載せず、または不実の記載をした場合
  • 役員名簿及び定款を事務所に備え置かず、記載すべき事項を記載せず、または不実の記載をした場合
  • 組合等登記令に違反して法務局への登記(設立、変更など)手続きを怠った場合
  • 財産目録を事務所に備え置かず、記載すべき事項を記載せず、または不実の記載をした場合
  • 役員変更の届け出を怠った、または虚偽の届け出をした場合
  • 定款変更(認証不要のもの)の届け出を怠った、または虚偽の届け出をした場合
  • 定款変更(認証が必要なもの)の認証後、変更登記をしたことを証する登記事項証明書の提出を行った場合
  • 合併の認証後、2週間以内に貸借対照表及び財産目録を作成せず、記載すべき事項を記載せず、または不実の記載をした場合
  • 合併の認証後、2週間以内に債権者に対して合併に異議を述べるべきことを公告せず、かつ個別に判明している債権者にこれを催告しなかった場合
  • 合併に異議が述べられた場合に、これに弁済、若しくは相当の担保の供出、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的とした財産信託を行わなかった場合
  • 債務完済の見込みがないときに、破産開始手続き開始の申立てをしなかった場合
  • 清算中に債務完済の見込みがないときに、その旨の公告をせず、または不正の公告をした場合
  • 解散の際に債権者に債権の申し出の催告公告せず、又は不正の公告をした場合

以下のような場合は、NPO法によりその行為を行った者に10万円以下の過料に処せられる可能性があります。

  • 特定非営利活動法人以外の者が、その名称中に「特定非営利活動法人」またはこれに紛らわしい名称を用いた場合

法人の認証の取り消し

以下のような場合は、NPO法人の認証を取り消される可能性があります。

  • 法人設立の認証から6月を経過しても未登記の場合
  • 事業報告書の提出が、3年以上にわたって未提出の場合
  • 正当な理由なく所轄庁の改善命令に従わなかった場合
  • 法令に違反しており、改善命令ではその改善が期待できないことが明らかな場合

このページは、以下のSDGsのゴールと関連しています。

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